???初出: EP1
ドラゴン
はじめに記しておく。この世界に《ドラゴン》という概念は存在しない。図鑑にも、歴史書にも、伝承にもその名はない。
以下は、アルヴィナ本人の証言のみに基づく記録である。
——幼いころ、森で《凶狼》の群れに襲われた。死を覚悟したそのとき、大きな爬虫類のような巨躯と翼を持つ生物が現れ、炎の吐息で凶狼を焼き払い、自分を救った——。
彼女はその存在を《ドラゴン》と呼ぶ。以来、夢の中で幾度となく炎のイメージとその言葉を見るのだという。それでも彼女は、その日から今日まで、一度も疑っていない。《ドラゴン》は実在する。いつか必ず、それを証明してみせる——それが、アルヴィナという魔法遣いの原点である。
しかし、目撃者はこの世界で彼女ただひとり。物的証拠はなく、学園の蔵書を調べても、該当する生物の記録は見つかっていない。
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